「ヒト-モノ」環境が支える子育て

ごあいさつ

皆様におかれましては,ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

日本発達心理学会第30回大会は,2019年3月17日(日)〜19日(火)の3日間,早稲田大学を担当校とし,文学学術院の大藪泰と人間科学学術院の根ケ山光一を大会委員長として開催させていただくこととなりました。会場は,早稲田大学戸山キャンパス(東京都新宿区)となります。

本大会のテーマは「『ヒト−モノ』環境が支える子育て—Human networks and material resources: Toward a supportive environment for child raising—」です。子どもはさまざまなヒトやモノに取り巻かれて育ちます。そしてそのヒト環境とモノ環境は,互いに絡み合って複雑なシステムを構成しています。その「ヒト−モノ」環境をどのように与えるかは子どもの発達に大きく影響します。今日における目まぐるしい環境の変化を見るにつけても,子どもが育つ場としてどのような環境がふさわしいのか考察することはとても大切なことだと感じます。

大会企画としては,次のような海外からの招待講演や基調講演,シンポジウムなどを予定しています。まず海外からの招待講演には,英国ケンブリッジ大学のMichael Lamb氏と米国ノースウェスタン大学のDan P. McAdams氏をお招きし,Lamb氏には「Non-maternal care and children’s adjustment —ノンマターナルケアと子どもの適応—」,McAdams氏には「Becoming the author of your life —自分の人生の著者となること—」というタイトルでそれぞれご講演をいただきます。また基調講演として,大藪が「共同注意という子育て環境」,根ケ山が「アロマザリングと母子の遠心性」というタイトルでお話しさせていただきます。

大会委員会企画シンポジウムとしては,「子どもの発達を支えるマインドフルネス」「自閉症スペクトラム障害の脳神経基盤と効果的介入」「老いを『嗜(たしな)む』:新しい高齢者観の創出に向けて」「『ヒト−モノ−ヒト』をつなぐアフォーダンス:生態心理学×環境デザイン」「二人称的教育・保育研究は発達心理学に何を示唆するか」「発達支援の心理学−適応とは何かをあらためて問う」の6つを予定しております。

2019年3月には戸山キャンパスに「早稲田アリーナ」と屋上広場「戸山の丘」が竣工の予定で,装いも新たに皆様をお迎えできることと思います。早稲田大学は,大学自体を歴史的景観区にしようとしています。本年3月に開設された「早稲田大学歴史館」ではその歴史を一望することができます。また,文学学術院に縁がある「坪内逍遥記念演劇博物館」や「會津八一記念博物館」にも是非足をお運びください。懇親会は,「大隈記念タワー」15階の「森の風」で開催しますが,ここからはライトアップされた「大隈講堂」を見下ろすことができます。その景観もお楽しみいただければと思います。

まだ肌寒さも残っている時期かとは思いますが,大会委員一同,多くの皆様のご参加をお待ちしています。

2018年7月
日本発達心理学会第30回大会委員長
大藪 泰・根ケ山光一