今、改めて、発達を考える

ご挨拶

 日本発達心理学会の会員の皆様におかれましては,ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。日本発達心理学会は大会が始まって以来30 回を数え,次回の第31回大会は2020年3月2日(月)から3月4日(水)の3日間,大阪中之島の大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で開催することとなりました。

 1989年12月1日,神田一ツ橋の学士会館の2階ホールには,初代の理事長に就任した東洋先生始め,そうそうたる発達心理学者が集まり,日本発達心理学会の設立総会が開催され,翌年の1990年3月28日,29日の2日間,白百合女子大学で第1回大会が開催されました。発足時会員数は408名,7月5日時点では830名であったと記録されています。第1回大会のプログラムはわら半紙に手作りであったかと記憶しています。第2回からは,プログラムの内容も外見も変わり,その後年々発展の一途を辿り,第2回大会以後,はたして学会として発展していけるかという当初の懸念は杞憂に終わりました。

 この30年の間に,発達心理学は,少子高齢化,子育てや虐待といった家庭,家族,親子や友人間の問題,引きこもり,不登校などの問題,さらにiPSとの関連性,IT化,ロボット工学など他分野との結びつきなど多岐にわたるかかわり,また日常生活においては経済学などとの結びつきなど,発達心理学と他の研究分野との新しい結びつきが広く深く変化し,それによる方法論の問題も新しく浮上してきました。言葉を変えるならば,発達心理学の日常化の深化と拡大,ということになるでしょうか。このような中で,発達心理学会の会員数の増加や研究領域の多様性に注目して本大会のテーマは,「今,改めて,発達を考える」としました。

 発達心理学会の会員数の増加に大会を開催することの出来る地域が限られてきました。今後は,理事会等の協力を得て多くの地域で大会を開催し,出来るだけ多くの会員が参加し,研究発表や情報の交流を行い各地域の偏りのない発達心理学の発展に資することが必要となってきました。そのため,今回の第31回大会は日本発達心理学会理事会ともご一緒に関西地区懇話会が担当して大会を実施いたします。事情をお汲み取りいただき,会員の皆様のご理解とご協力をお願い致します。

 関西の3月初旬の朝夕はまだ寒さの残る頃ですが,新しい時代を見据えてアカデミック・プログラムをいっそう充実させ,多くの会員の皆様のご参加を大会委員一同お待ちしております。

2019年7月
日本発達心理学会第31回大会委員長
南 徹弘(関西地区懇話会会長・大阪大学名誉教授)