■大会委員長挨拶

 皆様におかれましては,ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

 第27回大会は,日本発達心理学会の大会が初めて津軽海峡を渡り,北海道で行われることとなりました。場所は札幌市にあります北海道大学の全学教育棟ならびに遠友学舎です。天候に鑑み,時期を2016年4月29日?5月1日としましたことをご理解いただけましたら幸いです。

 

 本大会のテーマは「変化と多様性のなかの発達心理学」です。

 

 グローバル温暖化をはじめとする大小の自然環境の変化,少子高齢化やモビリティによる人口学的な変化,電子機器の普及発達に伴う私たちの行動や人間関係の変化等々により,法や制度,教育の在り方,心理的支援・介入も多様化し,発達心理学の役割はますます大きなものとなっています。変化と多様性のなかで,発達心理学のどのようなディシプリンは変わらず,どのような側面は変化・進化し,他領域との連携・融合が進んでいくのか。本大会が,こういった様相を見渡すことのできる,新たな出発点となればと願っております。

 大会企画としましては,乳児の心的理解に関する「二人称的アプローチ」で注目を集める Vasu devi Reddy教授(ポーツマス大学),社会心理学の捉え直しから人間の自由と主体性に関する根源的な問いかけをされている小坂井敏晶准教授(パリ第8大学)をお招きし,講演をお願いする予定です。また,国内研究交流委員会による「理論と実践をつなぐ子どもの見方」や国際研究交流委員会による企画も順調に進んでおります。ぜひ楽しみにいらしてください。

 なお,本大会には,いくつか特徴があります。

 一つは,2016年7月24~29日に横浜パシフィコで開催される国際心理学会議(ICP2016)に先駆けた大会となることです。世界の心理学者が集うICP2016のテーマ「Diversity in Harmony: Insights from Psychology」と緩やかに連動し,発達心理学を盛り上げていければと思います。

 もう一つは,これまでにない時期,場所での開催も含め,大会開催の手続きを整理し,今後,持ちまわりで大会を維持・開催していく方法を模索する実験的な大会としたい,ということがあります。そのため,これまでとは異なる「変化」が生じる可能性もありますが,ご理解・ご協力を賜われましたら幸いです。

 どうぞ皆様,雪が溶けてありとあらゆる花々が一斉に咲き出す美しい春の北海道に,ぜひお越し下さい。

 

 発達心理学会第27回大会委員長
 仲 真紀子